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2007年4月

2007/04/29

信頼

070429


とうとうこのときが来た
すべての潮が心に満ちて
行かなければならないと
あれを確認しなければと
 
冷たい青が夜な夜な誘う
耳鳴りと雑音とが急かす
行かなければならないと
あれを確認しなければと
 
その蠱惑的で清潔な死臭
 
 
確かめる旅に出たあとは
もう二度と戻りはしない
いつかお前は分かるのか
本当に愛していたことを
 
黒い夜空から見下ろして
何も考えなかったことを
いつかお前は分かるのか
お前だけを愛したことを
 
その魅惑的で窮屈な苦痛
 
 
そのとき凍えた水圧の下
ふっと思うかも知れない
もっと話せば良かったと
白い砂を握り締めながら
 
掛け違えたボタンをまた
掛け違えていたことすら
いずれ分かると信じてる
紺の水を飲み込みながら
 
覚えていてくれと願って
 
 
 

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2007/04/15

確認

070415


それは湿った風そっと
頬を撫でられただけの
 
赤土を掘り返している
遠い過去に埋めた屍体
 
俺はお前を今になって
確かめようと言うのだ
 
 
それは蛍が飛ぶような
そういう夕方の湿った
 
赤土を掘り返している
照らし出された白い罪
 
俺はようやっとお前を
胸に抱こうと言うのだ
 
 
赤と白との粉が混ざり
大きな渦を巻き始める
 
それは混沌とし始める
発散も収束も初期条件
 
そのなかに入り込んで
一緒に混ざり合ってく
 
 
気がついたときお前は
指の間から零れてた白
 
 
 

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2007/04/14

屍骸

070417



跳ねてる使い捨ての
取っ手のような生の
行く先々で突き当る
 

散らかってる部屋で
何度もよじ登った獣
獣によじ登ってる獣
先にお行きなさいと
言葉が聞こえるまで
 
 
 

答えを捜し続けてる
戻れる道は一体どれ
同じように捜してる
 

獣から走り去った獣
怯えたまま逃避する
湧いた妄想の雲の中
先にお行きなさいと
言葉が聞こえたから
 
行くのならいますぐ
行くのならいますぐ
教えた通りなぞって
行くのならいますぐ
 
 
 

出しては入れていく
いつも口を視ている
じっと口を視ている
 

口実まで喰べている
こんなに近づいても
掴んだ髪は逃した獣
先にお行きなさいと
言葉が聞こえている
 
行くのならいますぐ
行くのならいますぐ
教えた通りなぞって
行くのならいますぐ
 
 
 
ぼろぼろにくずれて
落ちていくいますぐ
ぐずぐずにばらけて
墜ちていくいますぐ
ばらばらにほうけて
堕ちていくいますぐ
 
転がってる獣の屍骸
 
 
ぼろぼろにくずれて
落ちていくいますぐ
ぐずぐずにばらけて
墜ちていくいますぐ
ばらばらにほうけて
堕ちていくいますぐ
 
転がってる獣の屍骸
 
 
 

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2007/04/13

1時51分

070413_1


夜中に街を彷徨う
同じ感覚があるの
視た物が眩しいの
似た者が欲しいの
名前と顔と居場所

無人の通りを渡り
闇に溶ける高揚感
黒に融ける浮遊感
免疫のある孤独感
足早な靴音が響く

愛が何か解るよう
愛を注いでみたい
ただ愛してみたい
すべて一人にだけ


夜中に街を徘徊る
眼に口に鼻に耳に
寝静まった雑音の
気配だけ充満する
名前と顔と居場所

無人の通りを渡り
ふと食べ物の匂い
微かな雨粒の匂い
遠い昔の髪の匂い
早足の靴音が響く

愛を注いでいたい
脳内の大河の流れ
ただ愛していたい
すべて一人にだけ


夜中の街の出来事
夜中の街で思う事



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2007/04/12

虚無の中の真実

070412


頭蓋に響いてる高い雑音が
耳から零れて床にも刺さる
薄暗いのは内側か外側かも
 
何処を舐めれば治るだろう
その傷の在処さえ外の背中
 
自分で希望して重くなって
自分で希望して裏切ってく
誘っては拒む波のような心
 
その必要もない唯一人なの
そうして必要な唯一人なの
 
 
過去に終った狂った感情は
本能の才能に呼び覚される
薄暗い中の観察対象のせい
 
いきなりのたうった肉厚に
知らずに調べられた味覚に
整えられたもう一つの髪に
 
其処をなぞれば治るだろう
その傷の在処さえ外の足首
 
望まずに可笑しくなっても
望まずに黒く裏切られてく
拒絶の先に辿り着いた楽園
 
その必要もない唯一人なの
そうして必要な唯一人なの
 
 
黒い安定感ならいくらでも
欲しい分だけ与えてやろう
 
頭蓋に響いてる高い雑音が
無限の虚無の中で叫んでる
それはもう内か外かなんて
 
 
 

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2007/04/10

眠れる美女

070407


明暗の狭間
その深淵の
生への未練
 
殺した面影
重ねた口吻
浮んだ恋情
 
柑橘の腐臭
飼猫の死臭
絶頂の口臭
 
求めずに唯
観察してる
 
 
掴んだ黒髪
沈めた屹立
生への実感
 
絞めた白蝋
探った腰骨
抉った洞穴
 
柑橘の腐臭
飼猫の死臭
絶頂の口臭
 
求めても唯
冷静に視る
 
 
満ちて疲れ
汗ばんだ肌
温かい死体
 
 
低温の覚悟
 
 
 

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2007/04/08

欠陥品

070410


突然消えてしまったなら
すっかり忘れてしまって
深い海の深い穴に埋めて
必ず二度と出られぬよう
 
突然無くなっていたなら
まったく覚えていないで
雨や風や不意の気配にも
再び夢で思い出さぬよう
 
突然終ってしまうことは
お前の気持ちが千切れて
感情が欠落した小結晶の
空隙を通り過ぎただけの
 
突然浮んできた影ならば
それはもう関係ないから
何かの勘違いとしてくれ
それでも眠れぬ夜ならば
 
突然消えてしまったなら
すっかり忘れてしまって
意味なく寂しくなったら
大好きな黒髪を梳かして
大好きな眉を撫でてみて
大好きな傷に触れてみて
 
 
 

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2007/04/06

予兆

070406


予兆
必要は失ってわかる
なくしてから気付く
大きな泡が弾けてく
また大きく育ってく
それを沈みつつ観る
 
お前も入ってごらん
内側から見た膜の虹
反射する光線と雑音
何かの知らせが弾け
また何かを知らせる
 
本当のことを言えば
お前を恋しく思って
本当のことを言えば
お前への恋しい痛み
 
 
予兆
不足は補ってわかる
あふれてから気付く
大きな魚が擦り抜け
また大きく迂回する
それを沈みつつ観る
 
お前も沈んでごらん
下側から見た波の水
反射する光線と雑音
何かの知らせが注ぎ
また何かを知らせる
 
本当のことを言えば
お前を恋しく思って
本当のことを言えば
お前への恋しい痛み
 
疲れて疲れ切っても
 
お前の胸に泳いでく
お前の脳に沁みてく
お前の胸に泳いでく
お前の脳に沁みてく
 
 
 

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2007/04/04

共謀

070404


きらきら透けてる
舞う花びらのした
絞めていたい欲望
絞められたい妄想
 
定めてた相手より
傷と金属を選んだ
大胆に思われても
繊細に臆病なまま
 
呑み込みたくても
呑まれていたくて
共感できる皮膚と
一緒に居たいだけ
 
 
古錆の浮く構内は
いつかの底みたい
外に出ればすぐに
溶け込んでいる街
 
幸せは解らぬけど
安心は良く沁みる
重なる物は重ねて
黒い罪を赦し合う
 
距離とかではなく
時間とかでもなく
近づく似た感覚と
一緒に居るだけで
 
呑み込みたくても
呑み込まれたくて
絞めていたい欲望
絞められたい妄想
 
共感できる皮膚と
一緒に居たいだけ
 
 
 

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