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2006/03/19

グリタァ

060319


気がつくと真っ暗闇だった。いやそれは本当に暗いのか
眼が塞がれてるだけなのか、初めは解らなかったけれど

どうしてこうなったのかは、もはやどうでもいいことだ
いまさらこの宙の果てまで、誰も手を差し伸べられない

そのとき俺の頭上に落ちる、赤く渦巻くひとつ眼を見た
天空はそいつの顔で一杯だ。圧倒的に巨大な縞の大天体
遮蔽ガラスの内側で毒突く。この太陽のなり損ないめが



俺は火山と氷の衛星にいた



小さな重力と遠くの太陽が、何かの感覚を狂わせていき
俺はひとつ眼に魅入られて、帰りの酸素まで消費してた

なぜ気づかなかったのかは、もはやどうでもいいことだ
いまさらこの宙の果てまで、酸素を運ぶことはできまい
暑さと酸欠から来る朦朧で、珊瑚の海を思い出していた

あのとき俺は底なしの海を、遥か頭上にきらめく海面を
その間で遊ぶ海豚の群れを、眺めていただけだったのに

俺は深淵な青に魅入られて、帰りの酸素を消費していた
透明な青い世界の真ん中で、ぞっとしたまま漂っている


気がつくと真っ暗闇だった。いやそれは本当に暗いのか
眼が塞がれてるだけなのか、あるいはもう死んでるのか



早く誰か教えてくれないか?



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2006/03/18

アンカウンタブル

060318


愛しい興味
盛られた美
微かな希望

隠した知性
限った情報
厳しい経験

始まる嗜虐

快い窒息感
粘った液体
苦しい快感

徹した奉仕
縛った家具
這った恐怖

変換の成功

口の中の氷
柔らかな紙
泡立つ石鹸


融けた二人



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2006/03/17

クローズピンズ

060317


ひとつまたひとつ止める
滑り止めのギザギザたち
ひとつまたひとつ杭打つ

ひとつまたひとつ痛める
その結果言い知れぬ陶酔
ひとつまたひとつ痺れる

そして自覚して納得する

ひとつまたひとつ感じる
痛烈な痛覚と麻痺と痺れ
ひとつまたひとつ覚える

そして征服され服従する

ひとつまたひとつ止める
それを嬉しさや楽しさに
ひとつまたひとつ覚える



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2006/03/16

プレイス

060316


私の標は湖底の砂の下
そこは冷たく何ひとつ
そこは暗くて温度さえ

春に上層の魚が踊って
夏に水中まで陽が差し
秋に水面に紅葉が落ち

それは何の関係もなく
それは何の変化もない
私の標は湖底の更に下

冬に降り続く雪だけが
私の標にまで舞い堕ち
私の標を凍らせていく

全て強固へと変化して
それは標をより孤独に
人間の欠片も凍らせた



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2006/03/15

リード

060315


認められぬ形がどうした
自覚してればいいだろう
道に迷っているのならば

ぎしぎしと黒皮を巻いて
つかんで引きずっていく


気になることがどうした
必要であればいいだろう
水面近くで彷徨うならば

皮の金具にリードを付け
湖底まで引きずり堕とす


ただ信頼してただ任せて
引かれる方に来ればいい
その過程で赤く打たれて
全て曝ける事になっても


皮の金具に掛けたリード
掴んで絶対離さないから



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2006/03/14

グロテスク

060314


暗い隧道が広げられ
灯りが放り込まれる
刺し込んだ内壁から
上へと貫く先端は棘
右へと下へと左へと

次々に貫通する先端
その度に固定させた
縛られている手足が
裂け迸るほど暴れる
かなり深く負わされ

大量に出ていく感覚
喪失感と達成感だけ
潤いを増した自己愛
それは自分の考えを
持たなくていい快感

このまま最期になる
そういった欲望だけ
脳髄を支配し始める
最期となるときには
こうしていて欲しい

眼の前で抱き締めて
今みたくして欲しい
貴方で達したままで
喪失と達成のままで
そのまま最期になる



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2006/03/13

エゴイスト

060313


剥き出しのうなじが
貴方の手で撫でられ
指が順にかけられる

遠くなる妄想の現実
近くなる楽園の妄想
あの日の誰もいない


曝け出した後頭部が
後ろから髪を掴まれ
肉厚と唇を噛まれる

遠くなる妄想の現実
近くなる楽園の妄想
駅のベンチに座って


首につけてた黒皮が
唐突に引き起こされ
湿りに叩き込まれる

遠くなる妄想の現実
近くなる楽園の妄想
夕陽を眺めて待って


待っていたものは何?



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2006/03/12

ペタルス

060312


花びら舞い落ちる坂道
風は貴方の部屋を示す
高鳴る鼓動の言い訳に
態と足取りを速くした
でも本当は早く会って
早く膚を感じたいから

交差点を右に曲がれば
すぐに貴方の窓がある
火照った顔の言い訳に
急ぐ足取りを速くした
でも本当は早く会って
早く膚を感じたいから



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2006/03/11

ラインズ

060311


人の心を傷付けて
のうのうと生きる
そういう類いの奴

その絶望的な奴は
どうやって罰する


平行線とは絶対に
交わらないなどと
嘯いて逃げる奴は

人の心を抉り出し
平然と生きている
そんな奴許せるか

その無神経な奴は
どうやって罰する


好きな女を罰して
自分を罰した気に
なっているだけだ

人の心を傷付けて
のうのうと生きる
俺はそういう奴だ

この無意味な奴は
だれが必要とする

キラメキの平行線
それで自ら画面を
黒くするしかない



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2006/03/10

イクスチェンジ

060310


足の裏を切ってく
何を踏んでるのか
足の裏が切れてく

足の裏から流れる
だらだらと流れる
ざまをみろこれが

これがおまえの罰
流れる血は土へと
土へと染み込んで

染み込んで忘れる
犯した罪の深さを
切った傷の深さで

傷ついた心の亀裂
傷ついた体の亀裂
それが等価な訳か

ざまをみろこれが
これがおまえの罰
罰だったとしたら

最悪に卑怯な奴だ



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2006/03/09

ヒップボーンズ

060309


透明な水色に浮かぶ肌色の島


砕けた白珊瑚を洗う音の群れ
椰子の葉を通り過ぎてく風声
まどろみの楽園の静かな旋律

それは一体どこの異国の言葉


砂地を歩く白い蟹たちの足音
水際で弾ける泡粒たちの破音
まどろみの楽園の静かな旋律

それは一体どこの神々の歌音


肌色をなぞり押す爪先の感触
隠れた突起を噛まれてく感覚
まどろみの楽園の静かな旋律

それはここにいる貴女の鳴声


透明な水色に浮かぶ肌色の島



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2006/03/08

アビス

060308


少しの罪悪感と多くの好奇心でできた皮袋
大小の皮袋が光と影の絵画を眺めていく時
あるいはブロンズ像の羅列を追い抜く場所
同時に深淵の底にも存在しているのだから

少しの既視感と多くの羞恥心でできた小舟
大小の皮袋が熱と水の音楽を歌っていく時
あるいは重なる波紋の速度を追い抜く場所
同時に深淵の底にも存在しているのだから

少しの征服感と多くの被虐心でできた皮膚
大小の皮膚を擦り合わせ吸い付けていく時
あるいは肉厚同士の絡まりを更に吸う場所
同時に深淵の底にも存在しているのだから



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2006/03/07

ベイグネス

060307


見知らぬ街で見知らぬ電車に乗った
腰掛けた人も吊り革の人も知らぬ顔
いや顔自体がなかったかも知れない

曖昧なまま曖昧に発車していく電車
ゆっくりと曲がりながら坂を登って
曖昧なまま曖昧な次の駅を目指して

ゆったり揺れるのに忙しげな電動機
その曖昧な音階が眠気を掻き立てる
気がついたら皆降り運転手もいない

駅もないところに取り残された電車
来たレールは曖昧なのに先へと続く
レールだけはっきり闇に浮かんでた



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2006/03/06

フラグメント

060306


私の膚はくまなく検査されてる
私は胸に抱かれた小さな子供に

貴方は深い亀裂を負ってるから
その扉に立ち続けて流している

だから私は感じて貴方も感じる
その満たされる感じを理解した


貴方が縛り鎖をかけたその手で
自由な私を拘束していく瞬間に

私は地面には立ってはいけない
私はここで直視してはいけない

それで私は感じて貴方も感じる
その満たされる感じを理解した


そうして貴方に感じてもらえる
それなら貴方に感じてもらえる
満たされる皮膚はとても悦ぶ物

それを見せながら私は感じてる
それを視ながら貴方も感じてる
その満たされる感じを理解した

それを視ながら貴方も感じてる
それを視ながら貴方も感じてる
満たされる感じが愛の欠片だと



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2006/03/05

モノポリー

060305


これほどぴったりくるものがあるのかと
不思議な感覚で拡散して混ざっていった
とても違うものなのに同質を確信してた

そんなにぴったりくるものがあるのかと
二枚あるはずの皮膚が一枚だけになった
予想していた通りにこれまでにない感覚

あれほどぴったりくるものがあるのかと
互いの呼吸すらも補完し合ってしまった
たぶんこれから対となり堕ちていくのだ

どれほどぴったりくるものがあるのかと
偶然とは考えられない必然の温度と行為
それを何度も確認するよう繰り返してた



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2006/03/04

ウェラバウツ

060304


初めての与えられた試練に
負けず嫌いの本質を晒して
緊張と疲労の波に揉まれる

辿り着いた天空の小舟には
ぴったりと嵌り合う褶曲が
必然の行為と確証を与えて

そうして確認された居心地


予め定められていた膚と膚
息もつかせぬ無理矢理だけ
本来の部分でない深い吸引

勝手な動作を罰する平手が
さらに勝手な行動を誘って
痛点の厳しさを熱にしてく

そうして確認された居場所

眼が視えぬ湖底に着いても
一緒にいたいと感じている



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2006/03/03

フロント

060303


眼の前にいるあなた
あなたには私の声が
湿度が聴こえてるの

目の前にいるあなた
あなたには私の肌が
吐息が触れているの

聴いて触れて聴いて
私の音と温度の全て
触れて聴いて触れて

目の前にいるあなた
あなたには私の舌が
突起が味わえてるの

目の前にいるあなた
あなたには私の夢が
妄想が視えているの

味わって視て味わう
私の柔さと痼り全て
視て味わって視てて

何かで合図してみて
目の前にいるのなら



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2006/03/02

カラー

060302


ぽたぽたと落ちている
染み込んでいくのなら
それは何色?

ぽたぽたと落ちている
胸が焦げる匂いさせて
それは何色?

ぽたぽたと落ちている
底に向かって沈んでく
それは何色?

ぽたぽたと落ちている
粘りの変化してく液体
それは何色?

その色に反応していく
染み込み合う個体同士
それは何色?



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2006/03/01

ラッパー

060301


それを弾いて、それを摘んで、それを固定して
それを捻って、それを掴んで、それを放置して
それを舐めて、それを噛んで、それを観察して
それを挟んで、それを潰して、それを素早く摩擦して

それを含んで、それを出して、それを味見して
それを混ぜて、それを嗅いで、それを飲下して
それを吐いて、それを眺めて、それを糊塗して
それを変えて、それを着けて、それを上から垂下して

包んでる、包んでる、包んでる、包んでる、包んでる

それを熱して、それを締めて、それを触診して
それを挿れて、それを止めて、それを攪拌して
それを押して、それを広げて、それを浸漬して
それを引いて、それを受けて、それをずっと保管して

それを曲げて、それを弾いて、それを押圧して
それを掴んで、それを壊して、それを変形して
それを続けて、それを聞いて、それを攪乱して
それを消して、それを泣いて、それを大切に妄想して

包んでる、包んでる、包んでる、包んでる、包んでる
包んでる、包んでる、包んでる、包んでる、包んでる



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