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2005/12/15

ディフュージョン

051215


俺は海に投げ込まれて、叫ぶ間もなく死んでた
アンタにはこんなお話、どうでもいいことだな
 
ゆっくりと沈んでいき、やがて膨らんでいった
眼球は両方とも溶出し、くちびるとか鼻の頭を
ヨコスジフエダイ達が、しきりにつついていた
 
 
投げ込まれた時本当は、何か叫んだか知れない
俺にとってもこんな話、どうでもいいんだけど
 
肉がなくなってしまい、骨々だけになった俺の
それでも意識の半分は、まだしっかりしていた
やがて藻が付いた骨を、サンゴと間違えたのか
ベラ達が齧っていって、俺の一部はベラの喉に
胃に腸に取り込まれて、消化されず排出された
 
更に細かくなった俺は、海水中の炭酸イオンと
反応し易くなっていき、海に溶けきってしまい
海流に乗って世界中を、拡散して廻っていった
 
 
どうしてこうなったか、いまとなってはとても
実にあやふやなことで、始まりとか終わりとか
何を大切にしてたとか、何を愛していたのとか
 
本当にもうどうでもよくなってしまったんだよ
 
 
 

diffusion
拡散

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