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2005/12/31

エデン

051231


音をたてて、とても冷静に
深く打って、とても力強く
じっと観てて、とても意地悪に
 
か細い声
どれくらい長かった?
 
狡い振動たちに
決して行こうと
しなかったのに
 
 
あなたの楽園
 
 
まったりと、長くて短くて
落ち着いて、素敵な音楽で
打ちつけてて、甘く切ない棘で
 
か細い声
どれくらい長かった?
 
ぶらさがる、とても高くで
ただ揺れて、手をはなして
すすり哭いて、ただ堕ちていく
 
熱い匂いたちに
連れて行かれて
足を踏み入れた
 
 
あなたの楽園
 
 
とても怖いのに
とても安心する
 
 
あなたの楽園
 
 
 

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2005/12/30

エターニティ

051230


寂しさに潰れてしまう夜は
あなたにくるまり眠らせて
温かい波と鼓動に包まれて
安心の底に堕ちていくから

永遠の約束よりささやかで
純粋な虚勢を確かめてく恋
意地だらけで綻びてくのに
丁度いいくらい遠く離れて

罪と罰を知ったまま堕ちるふたり
必要とするより必要とされたくて
ひと時の甘い想いに堕ちるふたり
愛するよりもずっと愛されたくて


互いに離れて暮らす時間は
あなたの気持ちだけ伝えて
眠れない眠りの小粒たちを
不機嫌に飲みくだすよりも

将来を約束する恋人よりも
一瞬を永遠に夢みていたい
出逢った時間の前後なんて
だれにも関係ないのだから

叶わないままなのに幸せなふたり
暗闇の底でじっと一緒にいたくて
揺れた想いのままとまどうふたり
素敵で怖い音を共有していたくて


必要とするより必要とされたくて
愛するよりもずっと愛されたくて
暗闇の底でじっと一緒にいたくて
素敵で怖い音を共有していたくて



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2005/12/29

トゥゲザネス

051229


俺達はよくよくツイてない親子だった


なぜか知らないが気がついたときには
頭からタンクローリーに突っ込むとこだったしね

本当に頭から突っ込んでいったんだろ
なにせフロントガラスを突き破っていたんだしね

その次に気がついた時は頭が割れてて
ぬんと指が中に入っちまったことは覚えてるしね



心はその時粉砕してしまったらしいし
以来俺はこんな冷酷になったんだから

俺はお前に殺されても別に恨まないし
むしろその方が気楽でいられるだろう



もう面と向かって訊けなくなったけど
あれは小洒落た心中だとでも答えるの



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2005/12/28

コミュニケーション

051228


おまえは俺を殴りつけていた
何度も何度も馬乗りになって
おまえは俺を殴りつけていた


俺はおまえの気持ちが
痛い程良く解り過ぎて

俯せて頭を守ったまま
存分に殴らせておいた

俺もおまえと同じ無力
おまえも俺と同じ悲哀

その確認し合う行為が
こんな形になるほどに


俺達は無念な砂を噛んだんだ



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2005/12/27

メモリー

051227


嵐の群れにさらわれた幼いこころは
怖いほど冷静な貴方がすくいあげて
荒れ狂う波と無邪気な本心の渦から
二人のすべての正気をすくいあげて
 
いまさら気づいた本当の私は
ひと粒が繋がって行くのなら
全て消し去る川すらいらない
 
想いは痛みに刻まれて
廃れた暗闇で蘇るのに
どこまでもずるい私は
どこまでも純粋なだけ
貴方を求めていくから
鋼鉄の楔を打ち込んで
 
朽ち果てる時間だけが
私を動かせる印になるから
 
 
些細なだけの運命も忘れてなかった
量子と論理の調和だけを頼りにして
不可解な粒と無意味な重ね合せから
二人のすべての意識を足し合わせて
 
いまさら傷ついた本当の私は
無意識に増えてく川の支流に
海と同じ濃度を流し込んでく
 
想いは痛みで刻まれて
廃れた暗闇に蘇るのに
どこまでもずるい私は
どこまでも純粋なだけ
貴方を求めていくから
鍵穴のない鍵をかけて
 
朽ち果てる時間だけが
私を動かせる印になるから
 
 
同じ所に存在などできない
たくさんの理由があるから
必要とされないこの時でも
 
 
想いは痛みに刻まれて
廃れた暗闇で蘇るのに
どこまでもずるい私は
どこまでも純粋なだけ
貴方を求めていくから
鋼鉄の楔を打ち込んで
 
朽ち果てる時間だけが
私を動かせる印になるから
 
 
 

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2005/12/26

センス

051226


ほとんど有機物と少しの無機物だった僕を
いま君は溢れるほど大切に思ってくれてる
 
こんな気体だけになってしまった心だけで
心だけでも君のことは忘れられずにいるよ
 
小虫とか動物たちの仕業に感謝したりして
論理なんかより真理を知ってしまったいま
 
眠ってる君のまぶたの裏を月光で照らして
眠ってる君の耳に星の光を聞かせてあげる
 
いつまでもしあわせな日々を忘れないよう
いつも君を思ってる僕を夢に見られるよう
 
 
 
気持ちとか消滅することなく拡散するけど
君はまだ忘れられずにいてくれてうれしい
 
こんな自由だけになってしまった心だけで
心だけでも君のことを大切に思っているよ
 
軋む音や不意の物音に気配を込めたりして
青空より深く青い空を知ってしまったいま
 
どうか存在しない胸の痛みが伝わるように
どうか存在しない唇の感触が伝わるように
 
いつまでも悲しむだけの日々を忘れるよう
いつも僕を思ってる君を包んで守れるよう
 
 
 
眠ってる君のまぶたの裏を月光で照らして
眠ってる君の耳に星の光を聞かせてあげる
 
それでしあわせな日々のことを思い出して
いつも君を思ってる僕を夢に見られるよう
 
 
 
大丈夫
大丈夫
大丈夫
 
今夜会えるから
 
 
 

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2005/12/25

ソルジャー

051225


元兵士は語りかけていた
百三十三回戦闘したのだ
 
そして二人の戦友を失い
終戦していたのに戦った
 
 
投降するとき処刑覚悟で
戦闘で何人も殺したから
 
見舞金はすべて戦友達が
安らかに眠る場所に贈り
 
しかしそれが軍国主義と
ひとはあの時と正反対で
 
無自覚に流されてるだけ
こんな情けないひとたち
 
同じ土地に住みたくない
 
売られた喧嘩は死ぬ気で
勝つしかないから喧嘩は
しない方が良いと言って
一年で祖国を離れ往った
 
 
喧嘩しない方法は唯一つ
離れる事ですと彼は言う
 
離れる事しか解はないと
平和という巨妄に震える
 
 
 

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2005/12/24

イヴ

051224


俺のイヴは
俺の中で死んだ
 
俺の中のイヴは
もう蘇りはしない
 
俺はイヴのことを
古くさい小説に仕立てあげ
万が一にも通らないように
締切り日の翌日に投函した
 
そうして俺はイヴのことを
この世から完全に抹殺した
 
 
あれから何十年も経つのに
 
本気で愛したという真実に
一体どんな意味があったか
いまだにわからないでいる
 
 
 

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2005/12/23

ピュア

051223


君の曲線は
鈍色なのに痛くない
沈む森の中
月の明かりを示すよに
ゆっくりと無心に刺す
柔らかな針で
 
僕の意識野は
朦朧とする脳薬と
溶ける液体で
腫れた体を伸ばすのに
遠慮せず無邪気に吸う
しなやかな口で
 
仕事の意味とか
生きる意味なんて
問う事すら辛い
僕は綺麗なほど
ただ生きてるのに
ただ死んでるだけ
 
満たされずに飲み続け
染まったまま吸ってるだけ
他に何ができるの
立つのすら辛いのに
 
満たされずに飲み続け
その意味すら忘れたまま
それで僕は生きられる
死んでることを忘れる
 
 
変わっているようで
変わっていないを繰り返す
無意味な毎日
いつも気づかず移動する
感動なく文字を飛ばす
細やかな指で
 
手段という名の
階段の底で
それを重ねるのが
生きるという意味と
わかっているのに
わかってないだけ
 
満たされずに飲み続け
染まったまま吸い続ける
そして何ができるの
君の許しもなしに
 
満たされずに飲み続け
純粋な針を刺して
それで僕は生きられる
忘れたことも忘れる


満たされずに飲み続け
染まったまま

満たされずに飲み続け
それで僕は生きられる
 
満たされずに飲み続け
染まったまま
 
満たされずに飲み続け
それで僕は生きられる
 
 
 

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2005/12/22

メモリー

051222


とても小さな矢尻を拾った夕暮れ
初めて僕は君と手をつないだのさ
 
その時背は君の方が高かったけど
あの時気持ちは僕の方が誇らしげ
 
小さな矢尻は
大昔の人々が
お金代わりに
使っていたの
これは新説ね
 
あの時手を引っ張ってたのは君で
その時僕は嬉しそうにはにかんで
 
とても小さな矢尻を拾った夕暮れ
僕は君と夕日に向って歩いていた
 
 
 

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2005/12/21

リインカーネイション

051221


満月の夜に街の人々が全員いなくなった
満月だからってこんなこと初めてだった
 
 
 
僕はとても不安になって皆を探している
 
 
 
街の周りは巨大な針葉樹に囲まれていて
ここから出るには森の小道しかなかった
 
森の奥では風もないのに笹がさわさわと
噂している声が皆がいるように聞こえる
 
森を抜けると緑の湖が広がっていたけど
水面はとろんとして魚が住む様子もない
 
僕だってここまでは散歩で来ていたのに
街の人々は一体どこへ行ってしまったの
 
 
 
湖の縁を廻るとさらに先に続く道があり
大勢の足跡を見つけてすごくほっとした
 
足跡に合わせてゆらゆらと歩いていくと
たくさんの家々が見えてきたのだけれど
 
その村の入口で足跡は消えてしまってた
街の人々は一体どこへ行ってしまったの
 
 
 
家々は小さめの可愛らしいコテージ風で
手入れの行き届いた庭と小さな畑がある
 
耳を澄ますと畑のかぼちゃや大根の葉が
何か楽しげに会話をしてるようなのだが
 
どの家を覗いてみても呼んでみても誰も
街の人々は一体どこへ行ってしまったの
 
 
 
僕はとても不安になって皆を探している
 
 
 
満月に照らされた小さな可愛い村にすら
人と呼べるものは誰もなかったのだから
 
 
 

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2005/12/20

キューブ

051220


完全に四角い部屋で
閉じ込められていた
 
そこは俺と部屋だけ
あとはなんにもない
 
不思議と空気は澄み
明るいのだけれども
 
気持ちはその正反対
やる気なんて完全0
 
いつ箱が壊せるのか
頑丈な黒塗りの金属
結局壊す事は叶わず
 
ただ無気力に怯えて
ただ長かった三年半
微かな遠い昔の記憶
 
 
 

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2005/12/19

ブラッド

051219


おまえは窓から見ていたんだ
おれが知らなかったとでも思っていたのか
おまえはおれが知っていることも知っていたくせに
 
おまえはおれを唾棄して
すべてのことを遺棄して
自分の欲望に忠実だった
 
おれはおまえを一生許さないし
おれはおれをも許さないだろう
報いとして当然ながら不幸にも
それがおれたちの受ける深い罰
 
 
 

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2005/12/18

メランコリー

051218


公務員の恐喝に備えあちこち百ドル札を仕込んだり
チェチェンテロで危うく爆死しそうになったり
マフィアの売春窟を覗かせられたり
自動小銃を突きつけられたり
滅茶苦茶すぎるけど
懐かしい国
 
 
 

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2005/12/17

グラデーション

051217


俺のカルシウム原子は
確かにお前を見つけた
 
無数の原子達のうちの
たったの一つだけだが
 
マスク越しの泣虫面を
確かにお前を見たんだ
 
どうやったらおまえに
どうやったら伝えられ
どうやったら気づいて
 
 
 
でももう俺の意識達は
バラバラになりすぎて
 
一体おまえが何なのか
俺は何者であったのか
俺は男なのか女なのか
 
そんなことすら判然と
しなくなっているのだ
 
 
 

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2005/12/16

ホワイトサンド

071216


おまえの残骸を見つけるために
俺はダイビングの免許を取った
 
おまえはまだどこか沈んだまま
ぬくぬくと平和にしてるのかと
 
沖縄で俺の相棒は最悪だったが
水の中はすこぶる視界も良くて
 
砂のひとつぶひとつぶまでをも
確認して廻ることができたのに
 
水深三十メートルの海底に座り
ぼやけて波打つ水面を見ていた
 
 
 

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2005/12/15

ディフュージョン

051215


俺は海に投げ込まれて、叫ぶ間もなく死んでた
アンタにはこんなお話、どうでもいいことだな
 
ゆっくりと沈んでいき、やがて膨らんでいった
眼球は両方とも溶出し、くちびるとか鼻の頭を
ヨコスジフエダイ達が、しきりにつついていた
 
 
投げ込まれた時本当は、何か叫んだか知れない
俺にとってもこんな話、どうでもいいんだけど
 
肉がなくなってしまい、骨々だけになった俺の
それでも意識の半分は、まだしっかりしていた
やがて藻が付いた骨を、サンゴと間違えたのか
ベラ達が齧っていって、俺の一部はベラの喉に
胃に腸に取り込まれて、消化されず排出された
 
更に細かくなった俺は、海水中の炭酸イオンと
反応し易くなっていき、海に溶けきってしまい
海流に乗って世界中を、拡散して廻っていった
 
 
どうしてこうなったか、いまとなってはとても
実にあやふやなことで、始まりとか終わりとか
何を大切にしてたとか、何を愛していたのとか
 
本当にもうどうでもよくなってしまったんだよ
 
 
 

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2005/12/14

パンコール

051214


あの日

確か手段という名の階段を
降りて
降りて
降りて
そして

広くて深い海の底に堕ちた


こんなに深いところなのに
もう真昼みたいに明るくて
明るくて
明るくて
そうして

そこに様々な海色タイルが
一面に敷き詰められていて
滑るように歩き始めたんだ



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